「酒友グランプリ®」の記念すべき第1回イベントを開催しました。
検証したのは伝統部門が「まぐろの漬け」、革新部門が「ようかん」の2品。
それぞれに相性の良い日本酒、焼酎の香味特性(香味特性別4タイプ)について約500名の審査員の投票により、その傾向を考察しました(グランプリ投票)。
また、同様に蔵元などからエントリーされた市販酒については、それぞれに相性の良いお酒を審査員投票により決定いたしました(エントリー投票)。
![]() ![]() |
![]() ![]() |
江戸時代、寿司で使用するまぐろの鮮度保持のためにほどこされた手仕事である「漬け」。日本の伝統的な手仕事とお酒との深い相性を探求。 | 伝統的和スイーツのゆるぎない代表「ようかん」。昨今のお酒とスイーツの相性が評価される中、相性の良いお酒を再度発見確認! |
審査会開催概要
開催日及び開催会場
開催日 | 開催会場 |
7月23日(日) | 大阪国際会議場 |
7月29日(土) | ホテルメトロポリタン エドモント |
7月31日(月) | FBOアカデミー東京校 |
投票および具体的な審査方法
・すべてのエントリー酒はブラインドテイスティングで行う。
・エントリー投票の酒類はエントリー者が指定した温度、割り方などで、ブラインドテイスティングで行う。
・審査にはIOSテイスティンググラスを用いる。
・グランプリ投票は各部門それぞれに最も相性の良い日本酒、焼酎を1点選ぶ。
[日本酒の香味特性別4タイプ]
香りの高いタイプ(薫酒)/軽快で爽やかなタイプ(爽酒)
コクのあるタイプ(醇酒)/熟成タイプ(熟酒)
[焼酎の香味特性別4タイプ]
フレーバータイプ/ライトタイプ/キャラクタータイプ/リッチタイプ
・エントリー投票は各部門それぞれに最も相性の良い酒類を1点、次点を1点選ぶ。
[エントリー酒]
*準備中
総投票数
A=一般 (1pt) B=唎酒師・焼酎唎酒師(3pt) C=酒匠(5pt) D=専属テイスター(7pt)
男性/女性/不明
会場/審査員区分 | A | B | C | D | 合計人数 | 総投票pt |
7/23 大阪国際会議場 |
106 47/47/12 |
38 23/15 |
0 | 0 |
144 70/62/12 |
220 |
7/29 東京会場① |
267 136/127/4 |
59 39/20 |
1 1/0 |
1 0/1 |
328 176/148/4 |
456 |
7/31 東京会場② |
13 0/12/1 |
10 1/9 |
2 1/1 |
1 0/1 |
26 2/23/1 |
60 |
合 計 |
386 183/186/17 |
107 63/44 |
3 2/1 |
2 0/2 |
498 248/233/17 |
736 |
結果および考察
グランプリ投票 〜日本酒、焼酎の香味特性別(4タイプ)分類との相性
合わせる日本酒・焼酎は伝統にこだわる必要なし!
特に注目すべきは薫酒との相性
醤油に漬けることで、身はしっとりと引き締まり、旨味と塩味が一体化したまぐろの漬け。順当にいけば「醇酒」「リッチタイプ」が好相性となると思われますが、「熟酒」「キャラクタータイプ」以外のどれもが高評価となりました。
まず日本酒は、薫酒がトップであることに注目したいと思います。よく「大吟醸は料理に合わない」などと言われ、フルーティーな香りは料理の邪魔をするとされます。しかし、今回のようにフルーティーな香りが加わる組み合わせ、いわゆる「マリアージュ(第3の風味が生まれる)」が評価されたことは、ワインだけでなく、日本酒と料理の相性提案に関しても新たな可能性が示唆されたと言えます。
焼酎も、コク同士が同調するリッチタイプとの組み合わせがトップでありながらも、フルーティーな要素を持つフレーバータイプも、スッキリとしたライトタイプも甲乙つけがたい結果であったことから、まぐろの漬けは、様々なタイプと合わせられる肴であることも明らかになりました。
伝統部門「まぐろの漬け」でしたが、合わせる日本酒・焼酎に関しては、伝統的なものだけに捉われなくてもよいことがわかりましたので、今後も柔軟な視点で伝統料理との相性を追求していきたいと考えます。
革新的で素晴らしいペアリング!
日本酒は「熟酒」、焼酎は「リッチタイプ(特に芋)」にやや軍配
「右党」「左党」と分けられてきたように、これまで酒類と甘味類の提案がされることは、あまりありませんでしたが、スイーツ類も新たなパートナーになりうると考え、今回は「ようかん」を革新部門と題し、投票を行いました。黒糖由来の濃密な甘味と豊かな小豆の風味、さらにはどっしりとした質感が特徴のようかんですが、評価されたのは「熟酒」と「リッチタイプ」でした。
まず日本酒は、熟成に由来するカラメルや黒糖のような香り、厚みのある飲み口、深い甘味が、ようかんと同調し、評価が高まったと考えます。
焼酎に関しては、リッチタイプの豊かなコクと、ようかんの濃密な甘味が同調したとともに、今回は芋焼酎だったため、さつま芋特有の甘くふくよかな香りも一体化する要因になったと考えます。また、ライトタイプの評価も高かったことから、焼酎とようかんは、様々な合わせ方ができることもわかりました。
同調する要素を探し出すことで、スイーツ類でも好相性と評価される組み合わせが多くあることがわかりましたので、「甘いものとお酒なんて」という固定観念に捉われず、様々な組み合わせを試したいものです。特に「和菓子と和酒」は、インバウンドゲストに対しても有効な提案となるのではないでしょうか。
エントリー投票 ~市販酒との相性
相生乃松 /相生ユニビオ(愛知県)
純米吟醸伝衛門 /越後伝衛門(新潟県)
蓬莱 無修正の酒 /渡辺酒造店(岐阜県)
太冠 純米吟醸酒 /太冠酒造(山梨県)
生酛純米 かまわぬ /司牡丹酒造(高知県)
なまの上善如水 純米吟醸 /白瀧酒造(新潟県)
卯の花 /原田酒造(愛知県)
純米大吟醸 光武 /光武酒造場(佐賀県)
特別本醸造 無濾過 雫しぼり /光武酒造場(佐賀県)
貴醸酒 古酒(23年+13年) /若鶴酒造(富山県)
亀泉 純米大吟醸生 亀の尾 /亀泉酒造(高知県)
純米吟醸 Sparkring Sake Shiro /萩原酒造(茨城県)
蓬莱 飛騨のどぶ /渡辺酒造店(岐阜県)
播州一献 純米吟醸 播州吉川産山田錦 /山陽盃酒造(兵庫県)
黒松仙醸 純米大吟醸 プロトタイプ16 /仙醸(長野県)
蓬莱 ガリガリ氷原酒 /渡辺酒造店(岐阜県)